いじめの授業3 |
指示1 これから配る資料をだまって読みなさい。 |
中学生になりました。新しいクラスです。クラスの中には小学校の時、同じクラス だった人が何人かいます。 しかし、ある日「にらんだ」などと言いがかりをつけられ、まわりから無視されるようになりました。 最初は4、5人から無視されるだけだったのが、だんだんと増えていきました。 そのうち、クラスのほとんどの子が口をきいてくれなくなりました。 しまいには、クラスの中でひとりぼっちになってしまいました。 友だちに相談しようとしても、さっと逃げていくように行ってしまいます。 先生に相談すれば、「ちくった」と思われて、さらにいじめがひどくなるのではと心配です。 家族に相談しようかと考えましたが、「中学校でとてもがんばっている」と思われているので、よけいな心配をかけたくありません。 無視だけではなく、いやがらせも始まりました。 |
発問1 この場合あなただったら、どうしますか。 |
発問2 どの考えに賛成ですか。 |
発問3 今度は一つずつ聞いていきます。Aに賛成の人? 反対の人? |
指示1 その理由を発表してごらんなさい。 |
説明1 宍戸江利花は、東京のはずれの立川市で生まれました。お父さんは、アメリカ人で立川基地の軍人でした。お母さんは、基地のそばの小料理屋さんがで働いている日本人でした。つまり江利花は、アメリカ人と日本人との間に生まれた子どもでした。そのため、色が黒く、髪もパーマがかかっていました。5歳のとき、父親がいなくなり、お母さんと二人きりですごしました。保育園の時、周りの子どもたちから、「こんけつじ!」「あいのこ!」などと言われて、毎日いじめられていました。 ある日、悪口がもとでけんかをしてしまい、負けて泣きながら家に帰ってきました。 ところが、お母さんは家の中からかぎをかけて、江利花を家に入れてくれませんでした。そのことがあってから、江利花は絶対に自分から負けたとは思わないようになりました。どんなに相手に殴られようが、けっとばされようが、けっして「まいった」とは言いませんでした。そして、相手が「もうわかったからごめんなさい」と言うまで、」けんかを続けたのでした。 江利花はこの時の体験から、相手にやられても耐えて、相手があきらめるまでがんばるということを学びました。 また江利花は、小学校1年生の時から空手を習い始めました。けんかが強かったから始めたのではありません。むしろ、けんかは弱かったのです。江利花のお母さんは護身術として、そして精神的に強くなってほしかったので空手を習わせたかったのだそうです。江利花は一生懸命に練習しました。雨の日も、寒い冬の日も、台風の時にも週に3日の練習を続けました。いっしょに入った子どもたちは、だんだんとやめていきましたが、江利花はとにかく続けました。そして大会で優勝をするようになったのです。 空手を通じて、江利花は精神的にも強くなり、いじめにも負けなくなりました。 さて、この江利花とはだれのことかわかりますか。 |
説明2 しかし、江利花をそこまで強くしたのは、お母さんの強さだったのかもしれません。江利花をかばったり、あまやかしたりしていたら、こうはならなかったでしょう。ずっと、いじめれ続けていたかもしれません。ずっと逃げていたかもしれません。 |
説明3 もう一人紹介します。イギリスにディズレリーという少年がいました。学校で、毎日毎日いじめられていました。いじめはずっと続いていました。 ディズレリーのお母さんは、そんなディズレリーにボクシングを習わせることにしました。いじめる人たちと戦わせるためです。 そして十分にボクシングの力がついたときに、ディズレリーはついに立ち上がり、いじめっ子たちとたたかいました。ディズレリーはいじめていた子たちを全員ぶちのめしました。 このことでディズレリーへのいじめはなくなりました。そればかりではなく、自信ををつけたディズレリーは勉強にも運動にもがんばるようになりました。 ディズレリーは後にイギリスの首相となりました。 |
説明4 ディズレリーの場合も、戦う決意をしたからこそ、いじめを克服したといいえます。 いじめっ子たちのいいなりになっていたら、首相にはなっていなかったでしょう。 いじめにあったらどうするか。それはその時になってみないとわかりません。当事者で なければわからない苦しみがあるはずです。しかし、「いじめになんか負けないぞ」という強い気持ちを持つことも大切だと思います。やられっぱなしで、じっと我慢する必要はないと思います。力で対抗できるのなら、それも必要だと思います。しかし対抗できな場合もあるでしょう。むしろ、そういう時が多いのかもしれません。そういう時は、頭をつかって対抗するしかありません。相談するのも一つの方法です。とにかくひとりぼっになってはだめです。一人でも自分の仲間をみつけることが大切です。 |
指示2 今日の感想を書きなさい。 |