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SANJO 田代勝巳
いじめでは、いじめる子が悪い。しかし、それを見て見ぬふりをしているクラスの子どもたちの責任も重い。いじめは誰の責任かを考えることによって、いじめの悲惨さを知る授業。
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【第2時】ねらい いじめは誰の責任かを考えることによって、いじめの悲惨さを知る。
説明1 これから、あるいじめの記事(いじめによってA君が自殺した事件)をくばります。
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その後、記事を教師が読む。
・いじめた子 20人 ・クラスの人 3人 ・A君 1人
配ったあとに教師が読む。
・いじめた子 23人(全員が手をあげた)
発問3 いじめた子たちは確かに悪いです。もうこれは犯罪です。では、いじめた子たちの次に問題があるのは誰でしょうか。プリントのあいているところに書きなさい。書けたら理由も書きましょう。
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人数を聞き、その後、理由を発表させた。クラスの意見は次の4つに分かれた。
(1)クラスの人(2人)
・いじめにかかわっているのに、止めなかったから。
・クラスの人も一度や二度はいじめを見ていたはずなのに、注意しないのは悪い
(2)家族(2人)
・もうちょっと話を聞いてやって、早く知るべきだった。
(3)先生(4人)
・いじめに気づいて止めるべき。
・もっと詳しく話を聞いていやるべきだった。
(4)A君(15人)
・だれかに相談するべきだった。
・黙っていたり言わなかったりしたのは悪い。
・どんなことがあっても命をすてるのはよくない。
指示1 お互いの考えについて、意見があったら言ってごらんなさい。
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指名なしで、意見を交換した。次のような意見が出た。
・A君が悪いという人は、ほかの人に何も言わなかったからと言っていたけど、それほど、ひどい目にあうとか、自殺にいたるほど追い込まれていたのだから、そう簡単に人に言えなかったのだと思います。
・A君が家族に言えないほど、申告に悩んでいたというけど、一人で悩んでいたって何も解決しないんだから、だれかに相談するとか自分が信用している人に話をして、アドバイスを受けて、それを実行してみたりするとよかったと思います。
・さっき言えなくなるほど深刻な状態と言ったけど、そうなる前のちょっとしたじめの頃に親に言っておけば、何とかなったかもしれない。
・自分がすごいエスカレートしていくいじめにあえば、ちょっとしたいじめでもお母さんや家の人に言えなくなると思います。
・ぼくはA君が悪いと思います。いじめを自分の力でとめようともしないで、勝手に死ぬのは自分勝手だと思います。
・私もA君が悪いと思います。さっき○○さんが先生がわかっていたからやめさせればいいと言ったけど、先生がきいても否定したし、かげでやっていると思うから、いじめを知っていたとは限らないと思います。
・□□さんに質問します。先生がなども聞けばいいと言ったけど、A君は否定しているんだから、何も言わないんじゃないですか。
・先生がもっと聞いていたら、話すかもしれません。
・でも、先生がずっと聞いていたら、この先生しつこいなと思われてよけいにいわなくなると思います。
・何回も聞けば言うかもしれないと言いましたよね。でも、それが「いじめられていません」というちがう答えだったら、意味がないと思います。
・ぼくはクラスの人が悪いと思います。いじめている人のやっていることは、他の人にもふつうじゃないと感じるはずだと思います。なのに、どうだっていいようにしていたり、やめさせようとしなかったりしたから、クラスの人は悪と思います。
・クラスの人が注意しないのは、自分もいじめられると悪くて不安だったと思う気持ちもあるから、なかなか言えないと思います。
・私はA君が言わなかったことが問題だと思います。
・クラスの人がいじめられると思って言わなかったと言ったけど、A君の友だちがいれば、友だちがいじめられているんだから、助けてあげることはできると思います。
・助けたいと思っている人が何人もいたともうけど、やっぱり勇気がなくて言えなかったんだと思う。
・ぼくは先生が何度も聞いてやらなかったのが悪いと思います。しつこいと思われても聞いてやるべきだと思います。
・ぼくはクラスの人が悪いと思います。A君は家の人や先生に言えばいいと思うけど、クラスの人もいじめられているのを見ているんだったら、注意すればいいと思います。
・私はA君が悪いと思います。A君は何もできなくて死んじゃったので、A君が悪いと思います。
・ぼくもA君が悪いと思います。やっぱり簡単に命をすてるのはよくないし、いじめをやめてもらいたいという言葉で自殺しなくてもすんだかもしれないからです。
・先生から言われて何も言わなかったA君が悪いと思います。でもクラスの人も悪いと思います。A君のことをどうでもいいと思っていたりしたら、クラスの人も悪いと思います。
発問4 もしも、この事件が自分の身近で起きたとしたらどう考えますか。つまり、この学校、このクラスで起きたとしたら、クラスの人・自分が悪いと考えるか、亡くなった人が悪いと考えるか、その家族が悪いと考えるか、担任と考えるか、どれですか。
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全員がクラス(自分)が悪いと考えるに挙手した。
説明3 もしも自分の身近で起きたら、やはり自分を責めるでしょう。亡くなった人やその家族を責めることなどできないはずです。先生だって、やはり自分をせめます。
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発問5 ところでいじめた人は、こうのような事件の後、どうなると思いますか。
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・ 警察につかまる。
説明4 そうです。この事件でも警察につかまっています。また別の事件ですが、このようなことがありました。いじめによって亡くなった子の遺書にいじめていた子の実名がありました。いじめていた子のお父さんは、遺族に謝り続けていましたが、ついには農薬を飲んで自殺してしまいました。(『学年別討論の授業 小学6年』P.42 石黒 修・明治図書)
いじめていた子はそこまできっと考えていなかったでしょう。でも家族は、学校をやめたり、会社を辞めたり、その町に住めなくなったりします。いじめた子だけではなく、その家族、時には親戚までもがその後の人生をめちゃくちゃにされてしまいます。
もうひとつ、脳の話をします。人間の脳には驚くべき秘密があることが最近の脳科学でわかってきました。人はよいことをすると、脳からエンドルフィンというホルモンが出ます。これは、人を気持ちよくさせたり病気を治したりする働きがあります。逆に、、人に意地悪をした、いじめたり、悪いことをしたりするとノルアドレナリンというものがでます。これは実は猛毒なのです。自然界の中ではヘビの毒の次に強い猛毒です。ノルアドレナリンは大きな力を出すときに必役立つときもありますが、悪いことを続けていると、その毒で自分の体を痛めつけていきます。そして胃に穴を開けたり、病気になったりするのです。
いじめをする子は、自分で自分を苦しめていることにもなるのです。
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・クラスの人が悪いのかA君が悪いのかよくわからなくなった。でも自分が一番悪いと思ったのは、いじめた人とクラスの人だ。
・やっぱり人をいじめてはならないと思った。
・A君が悪いと言っていた人は、おかしい。もし自分がいじめられてみんなが自分をせめたら、ということを考えていない。
・A君がいじめられるような性格なんだと初めは思ったけど、やっぱりいじめた人が悪いと思った。本当にこんなことが起きたら自分を責めるだろう。
・いじめって本当にこわい。もし友だちがいじめられていたら、注意はこわくてできないと思うし、もしその人が亡くなってしまったら、なんであの時、注意できなかったんだろうと思うと思う。
・以前もいじめの授業をやったが、今日のいじめのことについての話を聞いたら、涙が出そうになった。なによりもいじめはよくないと思っている。
・もしもぼくがこんなことになったらと思うと鳥肌が立つぐらいでした。
・いじめた人もいじめられた人も、どっちも悪い方に進んでいくので、いじめはだめだと思った。
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