討論 話し方の指導


1 全員の顔が見える位置にする。

2 結論を先に言う。それから理由、根拠を言う。

3 「・・・・思う」ではなく「・・・・考える」を使う。

4 一番遠くの人に向かって言う。あるいは一番話を聞いていないような人にむかって言う。

5 意見に同意する場合は拍手でこたえる。

6 相手に意見を言うときは、「・・・・・・か」と言う。「〜はおかしいんじゃないですか」

参考資料 「思う」と「考える」
(1)「思う」は、すべて認めてこそ、「自分なりの考え」が生まれてくるのである。
(2)「考える」とは、想像や思いつきのことではない。自分なりの理由や根拠をあわせもったもののことである。        『討論の授業入門』(石黒 修著・明治図書) 
 私は、発言をする際「〜と思います。」という文末を使わないようにに指導する。「〜と考えます。」と言わせる。これだけでも、子どもの発言はかなり明晰になる。ある人から、「思う」を「考える」に変えたにすぎないとという指摘があった、そうなのだ、「変えた」にすぎない。子どもの発言を変えたにすぎないものである。「考える」という文末で発言したことのない子どもが「考える」を使って発言しているのである。だから、言い換えたという状態があるのは当然である。徐々に「考える」と「思う」の違いが現れるように指導するのである。(P.166)                                                  『作文技術で思考を鍛える』(大森 修著・明治図書) 
「思う」は胸の中で単純な、一つの希望・意志・判断をもつ。「数学は難しいと思う」。「考える」は、あれこれと比較したうえで結論を出す。「数学の問題を考える」。                                                                                                  『角川必携国語辞典』 
 「思う」と「考える」には、「将来先生になりたいと思っている/考えている」のように意味が重なる部分も多いが、「日頃思っていること/考えていること」と言うと、「考える」の方がより組織だった内容について言っていることがわかる。・・・・「考える」は主に知的な思考作用に言い、・・・「思う」は、感情・感覚の認識、主観的な判断、情緒的な思考や想像に言うことが多い。                                                                      『学研現代新国語辞典』 
 それだからこそ、「・・・・・と思います。」などと頭の働きを言ってはならない。〈思う〉という事実は除いて、思う内容だけ語るべきなのである。                                                                                                    『作文の論理』(宇佐美 寛著・東信堂) 
 つまり「思い」とは、胸の中にある一つのことをいいます。これに対し「考える」とは、あれかこれか、ああするか、こうするか、いくつかの材料を心の中で比べたり、組み立てたりすることです。つまり、「思う」とは、一つのイメージが心の中にできあがっていて、それ一つが変わらずにあること、胸の中の二つあるいは三つを比較して、これかあれか、こうしてああしてと選択し構成するのが「考える」。
 考える」の一番古い例を『日本書紀』に求めると、一つは「刑罰を決めること」です。もとの形「かむがへる」の「か」とは、事とか所とかいうこと、「むがへる」の古形は「むかへる」で「向き合わせる」こと。犯罪者の実際にやった悪事が、刑罰の条文のどれにあたるかと事実と条文をつきあわせて決定すること、それが「かむがへる」でした。また、戸籍帳の記載と実際の田畑の配置を突き合わせて調べることも「校ふ」といいました。つまり「事柄を突き合わせてしらべる」のが「考える」の最古の使い方です。
 古い文学の中に出てくる「思う」は「胸の中に思っている」と置き換えるといい例が多い。言葉には出せずに、好きな人を恋する。それを「思う」という。胸の中に一人の人の姿しか見えない。それをじっと抱いている。だから「思い人」とは、それを告白できないで恋している相手をいいます。 「思う」は胸の中の一つのイメージをじっと大事にしていることですから、「試験を受けようと思う」というときには、そのこと一つを心の中で決めていることです。それに対して、「考える」にはあれかこれかという比較の観念、あるいは組み立て、構成の気持ちが含まれている。                                          『日本語練習帳』(大野 普 著・岩波書店) 

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