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『日本教育方法技術体系』第6巻「小学6年生の教え方大事典」P.30〜31 濱田常義氏の「詩『ゆき』の授業はこうやる」をWeb化した。
ゆき
草野心平
しんしんしんしん
しんしんしんしん
しんしんしんしんゆきふりつもる
しんしんしんしんゆきふりつもる
しんしんしんしんゆきふりつもる
しんしんしんしんゆきふりつもる
しんしんしんしん
しんしんしんしん
詩を板書する。
指示1 先生の指示棒と同じスピードで1回読みます。このスピードをよく覚えておきなさい。
全員指示棒に合わせて読むことができた。
発問2 全員後ろを向きなさい。今のと同じ速さで読みます。はい、はじめ。
短い詩でもあるので、すぐに暗唱できる。いよいよ、詩の学習である。
発問1 作者の工夫は何ですか。見つけてノートに書きなさい。
3分後に、挙手させて発表させた。
・3連でできている。
・全部ひらがなである。
・しんしんしんしんで静かさがわかる。
・しんしんしんしんとゆきふりつもるがくり返されていて、雪がどんどん降り積もっている様子を表している。
このようなものが出された。
発問2 この詩の情景は、静かですか。騒がしいですか。
これは、全員がすぐに一致した。
やはり、しんしんしんしんとゆきふりつもるのみが3連にわたって書かれていること、しんしんしんしんが静かさを表すこと。これが理由のようだった。情景をだんだんつかんできた。
発問3 この詩のゆきの大きさは、大きいでしょうか。粉のように小さいでしょうか。ノートに絵をかきなさい。
子どもたちは、静かに雪が降り積もっていることをつかんでいる。
静かに雪が降るときのゆきの大きさ、これも詩に書かれていることで読み取れるはずである。5分後に発表させた。
大きなゆき 21人
こなゆき 18人
大きなゆき派の子もこなゆき派の子もしんしんしんしんと静かに降ることを理由にあげた。
静かだから、大きい。
静だから、こなゆき。
両者ゆずらない。決定的に相手の意見を変えさせる根拠が見つからない。
これは宅習帳にもう一度意見を書いてくることになった。
発問4 静かな様子を表すには、しんしんしんしんは、どう読めばよいでしょうか。
しんしんしんしん、しん しん しん しん の2つの読み方を自分で読ませた後に手を挙げさせた。
全員、後者のほうがよいということだった。
静かな様子を出すには、しんしんし・・・・・と続けて読むより、しん しん ・・・と、一つ一つ切って読んだほうがよい。
よくそれに気がついたことをほめ、全員で一度声を合わせて、授業を終えた。
翌日の宅習帳、子どもが、次のように書いてきてくれた。
ゆきふりつもるからゆきが多いことがわかる。ふつうのゆきだったらゆきがふるかゆきがふりつむくらいだろう。でも、ふりつもるのだから、ゆきは大きいはずである。
この分析をもとに、学習を進めた。
この分析に加えて、「もし、こなゆきだったら、風が吹いたりして、静かとはいえないんじゃなか」という意見が出された。
これで、
おおきなゆき派 35人
こなゆき派 2人
になった。
結局、こなゆき派は根拠がなくなり、大きなゆき派になった。
こなゆき派2人は、「勉強になった」と言っていた。