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5 『風の中で』(加藤優二氏の論文)



田代勝巳(TOSS SANJO)

『日本教育方法技術体系』第6巻「小学6年生の教え方大事典」P.28〜29 加藤優二氏の『風の中で』をWeb化した。


三連からなる詩である。 

風の中でわたしは聞いた。
やさしいやさしい
秋のささやきを

風の中でわたしは話した。
ぐるぐる回っている。
黄色い木の葉と茶色の木の葉と

風の中でわたしは見つけた。
小さな小さな
秋の足音を

指示1 2度黙読しなさい。 

黙読は、『風の中で』をイメージ化するためである。

指示2 後ろ向きに立って暗しょうしなさい。

指示3 暗しょうし終えた人はすわってノートに書きなさい。

指示2の時間は5分、指示3は3分で終わる。1人を指名し、暗しょうした詩を発表してもらう。ここまでが導入である。

発問1 対句表現になっています。どこですか。

1 風の中でわたしは聞いた。風の中でわたしは話した。風の中でわたしは見つけた。
2 やさしいやさしい、くるくる、小さな小さな
3 秋のささやきを、秋の足音を
4 一連、二連、三連全部
子どもから出された答えである。問題としてあげられたのが4である。句であるから、4は消去され、1,2,3が残る。句と文の違いがわかる。

発問2 季節は秋です。秋のどの辺ですか。

1 秋の初め・・・M子「やさしい秋のささやき」は初秋の感じがする。圧倒的に多い答えである。こんなのもある。「黄色や茶色になるのは秋の初め」「小さな秋の足音は、秋がしのびよってくる。」
2 秋の半ば・・・M男「くるくる回って葉が落ちるのは秋の半ば」
3 秋の終わり・・・T男「小さな小さな秋の足音を」とは、秋が終わって、秋の足音が遠ざかっていくことを表現している。
1,2,3とも正解である。第一連は初秋か中秋、第二連は中秋から晩秋、第三連は晩秋である。対立ができてくる。第一連と第三連である。

発問3 一連と三連の違いを検討しなさい。

・やさしいと小さなは、秋の初めでないと、秋の終わりには雪が降って、やさしくも小さくもない。

・ささやきと足音はやさしい感じがして、秋の初めである。
・聞いたも見つけたも初めて聞いた、初めて見つけたのであって、秋の終わりに近くなって、聞いたり見つけたりしない。だから秋の初めだと思う。
14名中13名は秋の初めを指示した。ただ1人の反論は次の通りである。
T男である。
第一連は初秋、第二連は秋の半ば、第三連がまた初秋となると、秋が行ったりきたりする。もし第三連が初秋なら、第三連は第一連か第二連とならなければならない。どうしてかというと、「秋の足音を見つけ→秋のささやきを聞いて→木の葉が回って落ちる」のが普通だからだ。だから「小さな小さな秋の足音を」は「秋が去っていく様子」を表現していることになる。
ここでこう説明を加える。
「くるくる回るとは、風の中であるから、落ち葉と考えてよい。すると北海道の場合、葉が落ちるのは初秋ではない」
地域により、秋の表情はさまざまであろうが、連を考えて授業する時、順番は大切な要素となってくる。

この詩、対句表現、擬人法、倒置法を学ぶ上では、わかりやすい詩であるが、内容をとらえるという点では、問題の残る詩である。

指示4 倒置文を元の文に直しなさい。

指示5 実際の文はどこか書きなさい。

最後に全員が起立して、一斉に詩の朗読である。もちろん、暗しょうしてくるので、教科書・ノートは閉じたままである。



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