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D表検定での学び
授業づくりのポイント

                             

田代勝巳(TOSS SANJO)

D表検定をするなかで、授業づくりについて学んだことをまとめておく。(2006年7月)

 
1 授業の組み立て


(1)全体構造を明らかにする
 
教材研究・調査して、全体の構造を明らかにしておく。
単元の全体構造を概観し、その中のどこを切り取って授業するのかを明確にする。
そのためには、マインドマップがよい。授業したいことを、マインドマップし、脳内のネットワークを高めておく。最初は、思いつくままでよい。やっていくと、キーワードも確定してくる。1時間の授業だけではなく、単元の組み立てがみえてくる。
関係する本をとにかく読み、関係なさそうな本もとにかく読む。
「これはおもしろい!」「おっ!つながる」という発見がいくつもみつかるまで読み続ける。

(2)キーワードの確定
 
構造マップができたら、何の授業なのか一言で言えるキーワードを確定する。
そのキーワードをどう定義するかも重要。読んだ本、調べ尽くしたことがものをいう。
さらに、そのキーワードの歴史的背景を明らかにする。そもそも「○○」という概念が初めてできたのはいつなのか。

(3)全体の組み立てを考える
 
  優れた映画、小説、演劇、舞台、芸に構成を学ぶ。そのために優れた作品を読んだり、みたりすることを続ける。
  優れた授業の組み立てには、次のような原則がある。  
  @シンプル イズ ベスト
  A変化のある繰り返しを入れる
  B起承転結、序破急のような組立て
  C意外性の展開
  DAha!のある展開
  Eふりこの展開、子どもの認識が逆転する展開
  F「もの」を用意する
  G転移可能な新しいコードを生む
 
 

(4)熱中する授業の法則
 
 @頭を働かせる授業(知的好奇心に満ちた授業)
 A「できない状態」から「できる状態」に挑戦していく授業
 Bゲーム性、パズル性がある(時には勝ち負けなどがある)
 C自分が考え、自分が創りあげていく
 Dやることがはっきりしていて、全体がわかる
       (『子どもが燃える授業には法則かある』(向山洋一P9〜10)

(5)つかみを考える
 
 @最初のつかみは授業をつらぬくものにする。
 A考え抜かれれた言葉、無駄をそぎ落とした言葉をいくつも用意し、その中から最善手を選ぶ。
  最善手を選んだ後もその言葉の言い方(速さ・間・抑揚)を練習する。
 Bとりあえず発問・とりあえず指示を廃す。
  (「これはなんでしょう」「教科書を出しなさい」「ちゃんと席につきなさい」)
 C開始5秒の言葉で、状況を設定する。自然な流れで「は?」と思うような飛躍がない。
  「そんなこと言われてもわかるはずがない!」というような発問はしない。
 
2 授業方法・授業技術

(1)発問
 
 @ぴたっと決める
何度言ってもぶれない発問をする。
語尾まで明確に発する。
 A発問してすぐには、聞かない。間、あるいはノートに書く時間、そして例示を与える。
  すぐに答えられない発問もある。そういうときには、例えば〜とか・・・
  といってやる。ただし、その例示によって、答えが規定されすぎるのあれば、よくない。
 A拡散の発問も入れる
  例えば、例示をだして、ほかにどんなものがあるかきく発問。
  授業の中に、これがないと直線型の1対1の授業になってしまう。
  全体を相手にするには、拡散が必要である。しかも、そこでやんちゃ君が活躍で きればなおよい。
  「わ・気・思」発問がその代表格。人の気づかないことを言ってやろう、おもしろいことを言ってやろう、とやんちゃ君は考えている。それを利用すれば、うんとほめることができる。
  「先生はそんな答えをまっていだんよ」という対応ができる。
 

(2)指示
 
 子どもの活動をどのように仕組むか。たくさんのバリエーションをもっていて、必然の最善手を選ぶ。
 語尾は明確に発する。
 @読む
@)追い読み、交代読み、交互読み
   A)指名、指名なし
B)一斉、列、グループ、個人
C)黙読・ちっちゃな声・音読・朗読
E)教師の範読
 A書く
  @)ノートに書きなさい。
  A)箇条書きにしなさい。
  B)漢字○文字でで書きなさい。
 B挙手
  @)わかった人? 
  A)〜だと思う人? 
  B)それ以外の人? 
  C)今、手をあげなかった人?
 C起立
  @)全員起立
  A)列・グループ・班
  B)わかった人
 D思考
  @)一人で考える
  A)相談(お隣と・隣近所と・班で・自由に)
  B)例示をだして(教師が例示、子どもに例示をださせる)
 E発表
  @)全体が言う(全体にきいてさりげなく答えさせる、「みんなで、さんはい」)
  A)個人指名
  B)列指名
  C)わかった人
 F討論
「最初に理由を言って、そのあと討論をしてもらます。どうぞ。」
 

(3)確認
 
 @お隣と確認
 A挙手
 B机間巡視
 C書けたらもってらっしゃい
 D指をおきなさい
 E今、読んだ人
 Fノートをこっちに見せて
 G高くあげて先生にみせてごらん

(4)指名
 
  だれでも指名するのではない。意見を言いたいと思っている人に指名する。
  まっすぐ前から聞くよりも、後ろからそっと聞く方法もある。
  すぐに答えられない子には、近くの子に答えを言わせ、それを参考にさせながらまた聞いてみる。

(5)授業はこび・対応
 
  授業をたのしむ、笑顔であかるく進める(あんまり面倒なことはいわない)
  どうでもいい意見はさっと流してしまう。
 何を言っても受け入れてくれるという空気をつくる。
 誤答にはやさしく対応する。
 アクシデントがあっても、表情一つかえないで堂々と自信を持って進める。

(6)リズム
 
 全体が心地よいスピードでつらぬかれ、リズムとテンポがる。
 次々と思考させる中でも、安定した枠組みがあり、拡散しすぎない。
 安心して思考することができる。

(7)目線
 
 全体を見ながら、ピンポイントでみる。かすかな指先の動き、目の動き、足下の動きなどをつかむ。
 全体を聞きながら、ピンポイントできく。かすかな音の変化や声の変化がわかる。
 目、気、心くばりを絶えず、一瞬たりとも抜くことなく、くばる。  
 いつ、どこを、何のためにみるのか。
 子どもの目なのか、指先なのか、姿勢なのか、筆入れの中身なのか、ノートなのか・・・・
 目線には目的がある。
 

(8)動き
 
 教師の無駄な動きをなくす。気がつくとさっと横にいたり、大事なところでは、中央にどーんといる。
 
3 資料の提示
 資料としての数字は、子どもがわかりやすいものにおきかえる。
 数字の与え方も工夫する。小さい数をならべておいて、桁違いの数をだすなど。
 (AIDSのたいへんさ・・・・患者の相談電話数→薬の概念→インフルエンザの型→AIDSの型)
  難しい言葉・概念も、子どもがわかりやすいものにおきかえる。
 教えたい内容のすごさをあるエピソードで切り取り、それを描写することで聞いている方が「それは本当にすごいことだ」と思えるようにする。
 難しいことを、シンプルに、イメージしやすく教える。大学生に教える内容を小学生が理解できるようする。
 
 
 
4 禁じ手
 情に流す授業、スローガン的授業はしない。
 あくまでも事実を伝えるのが授業
 

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