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『日本教育方法技術体系』第6巻「小学6年生の教え方大事典」P.17〜19 新川荘六氏の「助詞の『の』には、いろんな意味がある」をWeb化した。
1
教材名を「ねこのうちわ」として、4時間で行った。
黒板にねこのうちわと書いた。
指示1 ねこのうちわを図で表しなさい。
下のような図が、ノートに書かれてあった。(図は略)
指名して、黒板に書かせた。
発問 それぞれどんなうちわですか。うちわの意味を説明しなさい。
子どもたちは、次のように答えた。
ア ねこの顔をしたうちわ
イ ねこが使ううちわ
ウ ねこの手のうちわ(手そのものがうちわ)
エ ねこの絵がかかれてあるうちわ
オ ねこのうちはこれです
カ ねこの手の形をしたうちわ
この中で、オは「うちわ」をさしていないということで消えた。
ここまでの授業の流れで、子どもたちは、「ねこのうちわといっても、いろんなうちわがあるんだなあ」と、口々に言っていた。
指示2 「○の○」という形のことばを、番号を打ちながらつくっていきなさい。○の中に入れたことばは、二度と使えません。
ことばづくりの後、1人1つずつ黒板に発表させた。
全員が発表し終わったら、再び順に発表させていった。
黒板に書かれたものも、○の中に入れたことばは、二度と使えないことを約束とした。
理由は、2つある。
A 「の」の意味が異なることばを多くつくらせたい。
B グループに分類するときに時間がっかりすぎる。
授業の終わりに、もっと書いてくることを宿題とした。
2
第2時と第3時。
前時にひき続いて、黒板に用例「○の○」を発表させた。
用例は50こ出た。
ここまでで、第2時の前半を使った。
指示 「の」の意味が似ているグループに分類しなさい。
子どもたちは、10このグループに分類した。
(1)「○がする(した)○」
・鳥のふん ・もぐらのさんぽ ・いるかのジャンプ ・とらのげり ・りすの動き
(2)「○についている○」
・犬の足 ・えんぴつのしん ・ラジコンのモーター ・弟の心臓 ・船のエンジン ・ぞうの鼻 ・かばの口 ・かえるの手(前足) ・時計の文字 ・ものの名 ・人形の服 ・しかのけつ ・鼻のみつ ・人の顔 ・車のタイヤ ・弓の弦 ・くつの底 ・めがねのわく
(3)「○が出す(○から出る)○」
・鳥のふん ・花のみつ ・ へびの毒 ・消しゴムのかす ・虫の声
(4)「○の中にある(いる)○」
・えんぴつのしん ・かけ算の九九 ・まん画のアニメ ・あほうのNo1 ・バケツの水 ・作文のな内容 ・花のみつ ・池のこい ・ごみ箱のごみ ・海の魚類
(5)「○が住んでいる○」
・かよちゃんの家 ・からすの巣
(6)「○がもっている○」
・かよちゃんの家 ・老人のつえ ・からすの巣
(7)「○という名がついている○」
・悪霊の神々
(8)「○として出た○」
・宿題のプリント
(9)「○で使う○」
・国語の本 ・えの具の箱
(10)その他(分類できなかったことば)
・地図の見方 ・体の中 ・クラスの数
用例をグループ分けする活動は、第2時の後半と第3時を使った。
なお、第3時の初めに、50この用例をプリントしたものを配布した。
3
第4時。
次の様式で、レポートを書かせた。
1 ねこのうちわを図示
2 それぞれのうちわの意味
3 「○の○」をグループに分類
4 学習後の感想
1〜3は、すでに授業記録をのせているので省略する。
ここでは、4について紹介する。
この「ねこのうちわ」を学習して、「の」の使い方が前よりよくわかった。「の」という字はたった1つの字なのに、たくさんの意味があった。(1)〜(10)まで出てきた。これは、みんなの考えたもの。「○の○」ということばだった。つくるのは楽しかったけど、次にある、グループに分けるのが頭を使った。これはむずかしかった。先生は、プリントに、みんなの出した「○の○」ということばを書いていた。短い時間で考えたのに、なんと50こ。私はうれしかった。4時間でこの授業は終わった。この授業は勉強というよりも、遊んでいるようだった。こんな勉強ならまたやりたいな。
本実践は、過去3年間(5,4,6年生の順に担任)行ってきた。どの学級の子からも、共通の感想がたくさん出た。
ア 「の」たった一文字なのにいろんな意味があるのでびっくりした。
イ ねこのうちわの図を考えるのが楽しかった。
ウ ことばづくりやグループ分けが楽しかった。
エ こういう勉強なら、またやりたい。
子どもが楽しんで参加する授業づくりができた。そして、わずか一文字にすぎない「の」の意味を、多くの用例を示して追求させることもできたのである。