俳句     岩鼻やここにもひとり月の客

 
                                                                TOSS SANJO    田 代 勝 巳

「鼻」と板書する。                              

指示1 鼻とはどういう意味ですか。国語辞典で調べなさい。
 
 調べ終わった子から指名して、意味を言わせる。何通りかの意味がでてくる。    
 @顔の中央に高くもりあがった部分。呼吸をしたり、においをかいだり、発声を助けたりする。                                   
 A鼻水                                     
 B自分                                     
 C岬のように突き出たところ                          

説明1 鼻には、突き出た場所といういう意味があります。この意味からこのような言葉があります。(「岩鼻」と板書)岩鼻とは、岩のつきでた部分という意味です。向井去来の俳句に次のようなものがあります。
 
 「岩鼻やここにもひとり月の客」と板書する。                  

指示2 ノートに写しなさい。
 

指示3 写し終わった人で読みます。はい。
 

指示4 全員で読みます。
 
 男子だけ、女子だけ、起立して3回、もう一度全員で、目を閉じて、等と繰り返し読ませる。                                     

発問1 季語はどれですか。季語に線を引きなさい。
 
 指名して聞いていく。(月)                          

発問2 季節はいつですか。ノートに書きなさい。
 
 春、夏、秋、冬ときいていく。(秋)                      

発問3 月の形はどんな形ですか。
 
 満月                                     

発問4 月の客とはどういう意味ですか。
 
 指名してきいていく。(月をみている客)                    

指示5 もう一度、この俳句をよみます。はい。
 

発問5 「月の客」とはだれですか。ノートに書きなさい。 
 
・話者
・岩鼻
・別の人(動物)

発問6 「ひとり」とは話者のことですか。それとも話者ではなくて別のものですか。
 
 討論する                                  

指示5 この俳句を解釈しなさい。
 
 〔ひとり=岩鼻〕
@私が月を見ていたら岩鼻も月を見ていた。あーここにも月の客がいたか。
A話者は岩鼻のところにきて、きれいな月を見ていると、岩鼻が月にてらされていて、まるで月を見ているようで、話者はここにもひとり月の客がいたのかと思った。
B岩鼻があって、その近くで話者が満月をみていて、話者がふと横を見ると岩鼻が満月を見ているようで「あっここにも一人」ってかんじ。
C私が満月を見ていて、ふと横の方を見たら岩鼻も月の方を見ていて、私のほかにもここにひとり満月をみている月の客がいたのか。
D私は満月に見とれていた。すると岩鼻も満月に見とれていた。ここにもひとり、私と同じように月にみとれている客がいたんだな。
〔ひとり=話者〕
@岩鼻やおまえのほかにも月をみている私がいるぞ。
A岩鼻やおまえも月を見ているけれど、わたしもここで同じのを見ているぞ。
B岩鼻やここにもおれが月を見ている。 
C岩鼻や月を見ているのはおまえだけではない。ここにも月を見ている私がいるぞ。
〔その他〕
@満月だから見に行って、横を見たらもうひとりいた。

説明2 作者の向井去来は、最初「岩鼻やここにもひとり月の猿」という句を考えていました。つまり、岩鼻をのぼり月を見に行くと、そこには先客がいた。という意味で作ったそうです。しかし、向井去来の師匠である松尾芭蕉は「岩鼻よ、ここに私が月の客としているぞ」という意味の方がよいと言ったそうです。向井去来と松尾芭蕉の解釈も違うのです。みなさんもすばらしい解釈ができましたね。
 
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